2010年の為替を予想する
2009年12月25日
今回は、2010年の為替予想について書いてみたいと思います。2010年の為替を考える上でのキーワードは、米利上げとインフレの2つだと思っています。この2つのキーワードをもとに、2月前後に向けて80円前後の円高、その後は9月頃まで90円に戻る円安、そして年末にかけて「最後の円高」といった展開を想定しています。
◆キーワードは米利上げとインフレ
2010年の為替を予想する上で、まず鍵になりそうなのは米利上げがいつになるかということです。米利上げ前後のドルには一定のパターンがあります。このため、米利上げがいつになるか次第で、ドルの予想も違ってくるわけです。
ところで、その米利上げ前後のドルの値動きパターンとは、利上げ前にドル高が進み、実際に利上げが始まるとドル安になるというものです。最近の2回の米利上げ局面は、2004年4月、1999年6月から始まりましたが、ドルは利上げ開始前の3―6ヶ月で10―15%上昇し、実際に利上げが始まるとしばらく下落が続きました。
では、肝心の米利上げはいつ始まるのでしょうか。今のところ年後半、早くて7―9月期との見方が基本のようです。そうであれば、「利上げ前のドル高」は、2―3月頃から始まるというが基本シナリオになるでしょう。
逆にいえば、それまでまだ本格的なドル高・円安への動きが始まらないなら、2009年11月末に記録した84円台を更新するドル安・円高リスクが残っている可能性も考えておく必要があるでしょう。
当面のドル安値が84円台で終わったのか、それとも80円前後まで拡大するかは、「利上げ前のドル高」に伴う2010年のドル高値目処を左右することにもなります。上述のように、「利上げ前のドル高」は3―6ヶ月で10―15%というのが一つの目安です。
また、2007年6月から続いてきた今回の円高基調における調整のドル反発は、2008年3月95円→2008年8月110円、2009年1月87円→2009年4月101円といった具合に15円程度となってきました。以上を参考にすれば、「利上げ前のドル高」で決まる2010年のドル高値が100円に届くかどうかは、2010年早々のドル安が84円台を更新するかによって決まることになるでしょう。
◆2月80円、9月95円、そして「最後のドル安」
ところで、順調に年後半に米利上げ開始となっても、過去のパターンからすると実際に米政策金利が引き上げられる中でドルは逆に下がる確率が高いようです。また、この利上げはいわゆる「出口政策」の一つとして、「100年に一度の危機」を乗り切るための異常な政策発動の副作用であるインフレの回避が目的になるわけですが、このインフレ・リスクがドル安の程度を左右することになりそうです。
米利上げが「ビハインド・ザ・カーブ」、後手に回ったり、それどころか2010年中にやはりできない可能性もあるでしょう。2009年12月に、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、「恐ろしい向かい風」と発言しました。バーナンキの前任者であるグリーンスパンがFRB議長時代に「50マイルの向かい風」と発言したのは1991年10月でしたが、利上げはそれから2年以上も後になったのです。
91年10月に、グリーンスパンが「50マイルの向かい風」と表現したのは、クレジット・クランチ、銀行貸し渋り、信用逼迫への懸念と理解されています。この懸念が利上げを遅らせたというこでしょう。さて、今回のバーナンキもクレジット・クランチ懸念から利上げが遅れる、できなくなる可能性は要注意ではないでしょうか。
2009年8月に、NYタイムズ紙に寄稿した文章の中で、「投資の神様」とされるW.バフェットは、「100年に一度の危機」対策が、やがてインフレとドル暴落をもたらす可能性を警告しました。
確かに財政赤字とドルの相関性からすると、60―70円へドル暴落してもおかしくない見通しになっています。そんな「投資の神様」によるドル暴落の警告が現実になるか、それが2011年にかけての「最後のドル安」の運命を決める役割となりそうです。(了)





